傷

ちょっとした怪我をして
血が止まるまで強めに抑えこんだ
ドクドクする
ジーンとして
たいした傷ではないからすぐに血が止まる
もしこの傷にさらに刃を食い込ませたら
もしこの傷を指を押し込めるように広げたら
痛いきっと痛い
痛いのは嫌い
でもと思う
指先の怪我一つで
なぜこんなにも―眩暈、恐れと恍惚
こんな傷と言わず
腕に
足に
首に
もっともっと
あれが境界だ
生理的な吐き気のさらに先
内臓の奥からせり上がってくる腐った液の奥底
あれを超えたら
超えられたら
少なくても私には出来ないから
今日も絆創膏が減っただけだった

ひとりぼっち

一人だと思ったことはない。
孤独が溢れていることをずいぶん前から知っていたから。

ボクの世界は孤立して
ボクは世界から孤立して
でもボクは一人だと思ったことはない。

ボクはたくさんのうちのひとつ
たくさんの孤独の一人
あちらとこちら
あちらの一人とこちらの世界
あちらの世界とこちらの一人

可哀想だなんて、手を伸ばしたりしないで
ボクは一人じゃないんだから
ボクはボクだけじゃないんだから
気安く触らないで欲しい

一人で孤独を愛することが出来ますか？
孤独に一人を愛することが出来ますか？
ひとりぼっちのあなたを
ボクは孤独に愛します。

水のない水槽 鳥のいない鳥篭

頭がなくなったら

君は君でいられませんか？

私は

頭がなくなっても君は君だと思います

あぁだから首だけで泣かないで

水が漏れてしまう　鳥が逃げてしまう

お願いだから身体はそのままで

せめてそれだけでも私にください