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 書きたくなった時に書いて放置しておく処。 好き勝手に書いてるわりに誰かに見てもらいたい願望あり。 染み込む白き沈黙へようこそ
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少女の心を忘れない母は、この時期になると決まって
子ども達にさくらの樹の下にある屍体の話をした。
母はとても博識な女性で、読書家であったから兄や姉達は
また母さんがお気に入りの本の話をはじめたと苦笑まじりに耳を傾け、
ボクと妹は母がまるで見てきたかのように語る話を固唾を飲んで聞き入っていた。

 母は、普段はもの静かな人で子ども達を叱る時でさえ声を荒げることなく、
とつとつと諭すように話して聞かせる、そんな質素で凛とした女性なのだけれど、
時折まるで年頃の少女のように、あるいはボクら末の姉妹と比べても遜色ないような
童女のように振舞うことがあった。
とはいえそれはほんの一時で、ふと気が付くといつもの「母の顔」に戻っている。
ふとした瞬間に視界の端に映り、あ、と思った瞬間には何事もなかったかのように
いつもの母がいる。
まるで目の錯覚かこちらの思い違い、夢幻のような覚めては消える変貌。
日常の一コマ一コマの中に紛れるようにして、そんな母の姿はあった。
 さくらの話をする母は、まるで恋人の話をする少女のような興奮と甘酸っぱい羞恥に
彩られ、こっそり秘密を打ち明けるかのような悪戯めいた雰囲気を纏っていたと、
少なくともボクは感じていた。
そんな母の姿も、日常の一部でしかなかったボクにしれてみれば別段疑問に思うことも
なく、実はその母の姿こそ、まさにこっそりとボクだけに「秘密」を打ち明ける行動
であったことを知るのはずいぶんと後になってからだった。
ほかの兄弟たちにとって、母はどこまでも母であり尊敬すべき女性だった。
ボクにとってもそれは変わらない、ただボクだけが母に「少女」を見ていた。


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彼らは人としてもっとも真理に近い存在なのだ。

そのことを錯覚している私たちは再び還れないほどに劣化している。

―だが悲しむ必要はない。彼らもいずれ壊れていくのだから

それもまた、悲しむ必要はないのだ。




未来の同胞よ
























(すぐそばにいるよ。隠れているから見えないだけで、)
僕はひとり
孤独に歩いていこう

君もひとり此処まで来たんだね

ひとりひとり、泣けない僕ら
出会ってしまう
泣きたい二人

かなしいことだよ

―かなしいね
―かなしいね

僕らは一人、孤独に歩いてゆこう
一人、一人
冷たい手を握りしめ孤独に歩いていこう

君の涙を拭った僕の手
僕の涙を拭った君の手

―つめたいね
―つめたいね

忘れないで、このつめたさを
覚えていて、このつめたさを

―さびしいね
―さびしいね

歩いてゆこう
僕らはひとりひとり
孤独で
歩いていこう
僕らは



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玉兎
性別:
女性
職業:
実質的な生産性がない職業
自己紹介:
ぴょんぴょん兎年
でも狐属性
されど猫好き
さっぱりカラカラ
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ゆるゆるダラダラ
でも嵌ると爆走
されど飽き易く
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